「午後の授業が終わったら、オプションでストーンヘンジへ。そして、何より私の趣味である美術館めぐり、アフタヌーンティー、パブ、マーケットなど、毎日出掛けていました。もちろん大英博物館は必須です。実は留学先を決めたのも、大英博物館が近いと言う理由からなんですよ。位置関係は学校、ロンドン大学、その横に大英博物館ですから。2回も行きましたよ」
── 彼女は日本でも美術館めぐりが大好きで、都内の展覧会は必ず前売り券を買っていくタイプだという。
「西洋史が好きなので、ナショナル・ギャラリーには3度も足を運びました。最終日にも『何する?』って友達に聞かれ、『ごめん、やっぱりもう1回あの部屋に行かせて!』と、印象派の絵を見に行きました。それ以外にもマイナーな美術館を一人で巡りました。でも一番好きだったところは、やはりナショナル・ギャラリーのルノアールの絵。まさに癒されまくり!」
── そんな彼女でも初めての海外。ホームシックは大丈夫だったのだろうか。
「部屋に帰ってきて、一人になった瞬間や朝起きても誰も居ない時は、確かに一人を意識します。ホームシックがイヤで毎日忙しく出掛けていたのかなとも思います。『忙しさで忘れる、1ヵ月しかないのでイヤなことは忘れて、考える前に予定をつめろ!』ですかね(笑)。日本と全く違う日常は当たり前。そこをどう楽しむか、違いを楽しまないと仕方ないと思うんですよね。だってせっかく行っているのだから、勿体ない。そう、行くのなら思いっきり楽しんじゃえ、って言いたいです」
── 「今日は一人で美術館へ行く、今日は友達と遊びに行く」と、しっかり計画を立てて行動した彼女。その結果、気づいたら1日10キロ歩いていたというから驚きだ。スケジュール表を見ると、1日だけスケジュールが空いた日曜日があった。この日が彼女にとっての最悪の日となった。
「ブリックレーンのマーケットめぐりに行った時です。
コートのポケットに入れていたスマホがないんです!
“落とした?いや盗られた?”さすがにパニックになって英語が聞き取れない。『どうしよう?』と固まっちゃったんです。でも一緒にいたスウェーデンの友達に『あなたは悪くない!』と連呼され、その後の指示をしてくれました。心強かったですね」
── 学歴は過去のもの。それに縛られずに、今やりたいことをやる。
「日本はイギリスから見て、遠い国。まだまだ日本は珍しいみたいです。皆から日本のことをいろいろ聞かれました。日本の居酒屋のお通しや日本食、恋愛事情など。その中でも特に不思議だったのが満員電車。『画像で見たけど、あれは本当のことか?』『なぜ、わざわざ、あの電車に乗るのか?』と。私は『毎日、満員電車に乗って通学しているよ』と答えたら、ビックリしていましたね。こちらの方が『なぜ、乗らない? 時間無いでしょ! 遅れちゃうよ』と思うくらい。彼らは時間にルーズで、授業も時間ピッタリには始まらない。逆に『なぜ、日本人はそんなに時間にうるさいのか』と言うくらい。だから電車もバスも人も時間にはアバウトなんです。日本に帰ってきて、時間通りに走る電車にホッとしました。これが“日本、なんだなぁ”と思いながら、東京駅から家に帰りました」
── では彼女自身は、海外から見た日本をどう感じたのだろうか。
「やはり日本は学歴社会だと思うのです。“何を学ぶではなく、どの大学に行くか”それは社会に出ても同じで、まず『どこの大学なの?』と聞かれる。私も常に早稲田大出身という肩書が外れない。海外の人はまず、それが分からないし、反対に『その大学に行けたら、幸せなの?』と聞かれます。まさに直球なんです。学歴は過去のものじゃないですか。海外に行くとそんな学歴は要らなくて、今の自分だけを見てくれる。過去の自分を知っている人がいないことは、むしろ武器だと思いますよ。だから、過去に縛られずに、怖がらずに、思いっきり自分を出せばいいんです。ただ何がしたいかをはっきり自分の言葉で表現しなくては評価されない厳しい世界ではあります」
「海外ではあまり喋らない日本語の会話だったので、電話をかけた時は違和感がありましたが、久々の日本語に少しホッとしました。スマホを盗られたことを話すと、『警察に行って紛失届け出してください』と言われ、気持ちが落ち着き、大変でしたが手続きも無事済みました。
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