── 渡邊さんが選んだ学校は、ロンドンの中心部であるLSIロンドンセントラル校、4週間の集中コースだ。
やさしい文法問題とライティングのエッセイ、面接によってクラス分けがされる。彼女は上から2番目のクラスだった。
「10人ほどのクラスに日本人は2人だけ。でも彼女と居ると日本語を使いたくなってしまうので、敢えて他の国の人と話していました。基本、もともとは英語が好きではなかったので、最初の頃はもう泣きそうでしたね。1週間目はニコニコしていただけ。それでも先生には『文法もきちんとして、きれいな文章を書くね』と褒められました。他の国の人の文法は滅茶苦茶、話せれば、伝わればOKなのです。しかも『あの人は、英語ができない!』ってバンバン言う。“見られている、怖いな〜”と思いました。ここでは自分を出さないとバカにされる、ちゃんと意見を言わないと評価されない、話さないと考えていないことになる。それだけ実力主義なんです。それは日本では引かれてしまうくらいにね(笑)。2週間目くらいから緊張もしなくなり、知らないという恥を捨てよう、バカにされてもいいから話してみよう、と考えられるようになったのです。すると『日本人はランチでも固まっていて、日本語しか話していないのに、お前は群れないタイプで、話したら面白いヤツだ』と、皆がどんどん話しかけてきてくれるようになりました」
── そんな彼女だから、ラスト1週間でアドバンスト(上級クラス)に行っても授業で怯むことはなかった。
「もっと早くアドバンストに行けば良かったなあ、と思います。授業は教科書通りに進むのではなく、最後の5分でプレゼンがあり、突然と『あなたはロンドン市長です。どうしたら、この町が良くなるか、話してください』とテーマが決まるのです。ハラハラ、ドキドキですが、本当に楽しい授業でした。宿題も少しはありましたが、学校にいる間で時間があったときに済ませていました」
── そう、彼女には家で宿題をやっている時間が無かった。それは見せてくれたスケジュール表が物語っていた。
|