高校と大学とでは夏・冬・春の休みの長さがちがいます。でも無駄に過ごすとあっという間に終わってしまいます。何とか長い休みを有効に使いたい。そう考えている中で出会ったのが大学生協の語学研修でした。九州の親に相談すると「いいじゃない!がんばって行ってきなさい」と背中を押してくれました。
少しは心配するかなと思っていたのですが……。
行先は迷わずにアメリカ合衆国と決めました。そして、どうせアメリカに行くのなら、私はボストンだったのです。
この街はずっと前からの憧れでしたから。一度は訪ねてみたいと思っていたハーバード大学やマサチューセッツ工科大学もボストンにありました。行き先も出発日も決定。それまで少しでも親の負担を軽くしようとアルバイトをしました。
日本を出発したのは2月20日の夕方。ボストンには直行便がないのでワシントンに着いてから、ボストン行きに乗り換えます。研修にはまったく不安はないつもりでした。ですから飛行機の中でも余裕を持って過ごしていたと思います。
ところが機内で入国用の書類に記入していたときに隣のアメリカ人女性がたまりかねた様子で声をかけてくれたのです。書類にNoと答えるべき個所のほとんどにYesと記入していると言うのです。もしYesと書いていたら大変なことになると男性とゆっくりとした英語で話しかけてくれました。
私がまちがえたのは、 危険物などの持ち込みに対する項目だったからです。
もしYesと答えていたら……。
ちょっとゾッとします。
ワシントンからボストン行きの飛行機でも別の人が心配そうに話しかけてくれました。
もしかすると落ち着いているつもりでもやっぱり他人には不安そうに見えたのかも知れません。
|