語学研修が開かれていた学校は、とても自由な雰囲気で先生も学生の意志を尊重してくれました。印象的だったのは、ディスカッションの授業。毎回、臓器移植など一つのテーマを決め、自分の考えを英語で述べていきます。
クラスはドイツ人やフランス人など様々な国の学生がいるのですが、フランス人の学生がスピーチしたときは、ちょっと笑ってしまいました。最初は英語なのですが、明らかに途中からフランス語っぽくなってきているのです。日本よりも英語に近い国と思っていたのですが、それなりに英語では苦戦していることがわかり、ホッとしました。
他の国の学生もそう。みんなたどたどしい英語だからゆっくり話をします。だから言っていることが理解できたし、それ以上に国はちがっても同じ英語の勉強に来ている仲間と感じることができたのです。それがわかってから他の国の学生としゃべるときに妙に身構えることもなくなりました。
最初のうちは心細さから日本人同士でいっしょになりがちでしたが、どんどん国のちがう人と会話できるようになってきたのです。自然とちがう国の人と友だちも増えてきました。学校の近くにあるハンバーガーショップ、お昼にはここの学生もよく集まります。カウンターで注文に迷っていると後ろから「遅いよ〜」と冗談のブーイングが入ったり、それに応酬したりといつの間にかいつもの学食にいるような楽しい雰囲気ができ上がっていました。
アクティビティでシアトルに出かけたときのこともすごく思い出に残っています。バスの日帰り旅行だったのですが、バスガイドさんが時間になっても来ないのです。運転手さんは、皆に申し訳ないと謝り、ため息をついて落ち込んでいます。語学研修の仲間たちは逆に運転手さんを励まし、ガイドさんなしでスタートすることになりました。
けれどその後、ガソリン切れやお目当てにしていた場所が休館だったりとハプニングが続きます。運転手さんは、もうため息のオンパレード。私たちの間にもなんとなく重い空気が漂ってきました。そんなとき、いつもおちゃらけていたコロンビア人とスペイン人の男子2人が皆の前にやって来て「せっかくアクティビティに来たのだから、もっと楽しくいこうよ!」と話し、パッと空気を変えてくれたのです。落ち込みのどん底だった運転手さんも気を取り直し、だったらもう一つ別の場所に行こうと予定していなかった観光スポットへ案内してくれたのです。ワーッと車内は盛り上がりました。実はそこも休館だったのですが……。
もう一つ忘れられない思い出があります。授業中、クラスメイトのバースディパーティーを企画しました。サプライズは大成功。しかしその後再びハッピーバースディの合唱が始まりました。今度はなんと友達が私のバースディサプライズを用意してくれていたのです。語学研修中に誕生日を迎えた私のために、友達がケーキもこっそりと買ってきてくれていたのです。本当にサプライズでした。
ステイ先に戻ったら今度はホストマザーから素敵なピアスがプレゼント。最高にハッピーな二十歳の誕生日を迎えることができました。
|