美奈 私もペーパーテストがわりとできたので、一番上のクラスになり、日本人は2人だけ。クラスにはサウジアラビア人が多く、アラビア文字を右から左へと書く彼らを毎日見て過ごすことが、不思議な感じでした。彼らはジョークが好きで、最初は早くて聴き取りにくく、自分がおもしろい返しができなくて、ただただ笑うだけだったんです。でも相手の人柄を知れば、情報が増えて、話しやすくなるし、少しずつ英語にも慣れてきました。そのうち気がついたら、周りは異国の友達ばかりで、同じ日本人にも『短期間で友達つくれるのって、すごいね』と羨ましがられました。授業中は“辞書を使わない”のも面白いですよ。先生は『僕がいるんだから、開かないでねって!分からなかったら、今聞いて』と言うんです。
普段から社交的な二人は、新しい人と出会うのがとっても好きで、楽しいと語る。
美奈 仲良くなったのは、ラテン系のアメリカ人が多く、ある日、丸一日一緒に遊ぶことにしたんです。朝・昼・夜、どこで何を食べるか、どこで何をするか、すべて自分たちで決めました。それがとても新鮮でした。そこで将来のことやお互いの言語のこと、国のことなどを話し、また逢おうねと約束しました。見回せば、「日本人は私一人。皆、国籍が違う!そう私も外国人なんだって(笑)」当たり前だけど、不思議で、本当に楽しかったですね。
舞 私もそうです。一番楽しかったのは、友達と話している時です。特に仲良かったのは、台湾人2人とメキシコ人1人。友達と一緒にいたいから、話していたいから、誘う。そんな毎日でした。
美奈 ホストファミリーはフィリピン出身のお母さんとお父さんに、私より年上の3人兄弟の家庭でした。料理好きのマザーはいろんな国の料理を作ってくれましたね。毎朝、昼、夜と用意してくれて、とにかく美味しかった。
舞 私は最初からインパクトありました。初めてのホストファミリーは、ホストマザーならぬ80歳のグランドマザー。それを出発の1週間前に知った時は、まさに「え?!」でした。でも現地に行ってみたら、想像と全然違って、もうお元気!可愛い家に一人暮らしで、他のホストスチューデントも居なくて、1対1の密な3週間でしたね。毎日違う料理を作ってくれて、本当に美味しくて、外出しても「夜は家に帰って食べたい」と思うくらいでした。しかも私が初めてのホストスチューデントだったらしく、土曜日の朝には一緒にワッフル作ったり、クッキーの作り方を教えてくれたり、お休みの日はゲームしたり、ノースバンクーバーからウエストバンクーバーへ車でショッピング、観光まで連れて行ってくれて、本当に良くして頂きました。ホストマザーからも「楽しかったので、これから、ホストスチューデントを受け入れていくわ」と言ってくれたのが、うれしかったですね。
『これ「カナダノート」なんですけど……』と美奈さんが見せてくれたノート。そこにはびっしりと英語が書き込まれている。
美奈 カナダの人達に「どこに行きたい」「何がしたい」と聞かれたら答えられるように、出国前に図書館でガイドブックや、ネットで調べ、情報収集していたのです。ただそこに書いてあった場所は、当たり前の観光ポイントであり、向こうへ行ったらもっと楽しいところがいっぱいだった。やっぱり実際に行ってみないと分かりませんね。このノートには他にも向こうで使った回数券や半券などを貼り、毎日の出来事を日記のように書いていました。今見ても、行った所々が楽しさで溢れているのが分かります。その中でも、大好きな頁があります。『母に感謝を述べる頁』で、『お母さんへ、ありがとう!ここに来られて本当に良かった。あなたのお陰で、私はこんな素敵な経験ができました』という意味の言葉がいろんな国の言語で書かれています。アラビア語、スペイン語、韓国語など、皆に書いてもらいました。とても大切なノートであり、思い出です。帰ってきてからも読み返すと、あの頃の楽しい想いが甦ってきて、ついつい笑顔になってしまうんです。
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